うつを治す.自殺したかったぼくを引き留めた友人の言葉.
「死にたい」
「なぜ生きていかなければいけないのか分からない」
うつになったことがある方なら間違いなく一度はこんなことを考えてしまった経験があるでしょう。
でも、こんな問に答えなんてありません。きっとこれらの問はどこかで哲学者が考えてくれています。
しかし、うつになった人間からするとこれらの問いはもっと切実です。明日を生きるためにもっと必死になって考えていることです。
必死になって答えを求める。
心の奥底では死にたくないと思っている。
でも、生きる理由が分からない。
それがうつになった時のぼくの思考回路でした。
しかし、答えは考えてわかるものではありませんでした。なぜなら、理屈ではなく感情が先立つからです。
なぜ立ち直れたか
ぼくが今生きているのはある友人のおかげです。
ぼくは自殺を決意したことがありました。うつの治療に取り組んでいた2019年の6月のことです。「6月30日になってなにも変わらなければ自殺しよう」そう決意して人生最後の2週間を過ごすことにしました。
決意してしまえばとても気が楽になって、毎日を生きられるようになりました。相変わらず気分は重いものの、この重い気分に耐えなくていいという気の軽さは手に入れられました。
そのころ、ぼくの高校からの友人が女の子を交えて4人で飲む機会を作ってくれました。ぼくを元気づけようと出会いの場を作ってくれたのでした。
しかし、もう自殺を決意したぼくはその飲み会に行く気もせず、連絡をする気力もないままいわゆるバックレをしてしまいました。
今思うとなんて人の好意を裏切ることをしてしまったんだと思います。そのころは本当に余裕がありませんでした。
ぼくはバックレたまま友人たちと一切の連絡を絶っていました。一人暮らしをしていましたので、そのまま部屋に引きこもってずっと寝ていました。
そんな状況だったのですが、その友人はぼくがうつを患っていることを知ってくれていたので、「死んだんじゃないか?」と思ったそうです。
ありがたいことにその友人は電車で1時間半かけてぼくの部屋に押しかけてきてくれました。
ラインで今から行くと連絡は来ていましたが、本当に来ると思っていなかったのでぼくは相変わらず寝ていました。
そのうちインターホンが押され、何度押され、しばらくして窓をガンガンたたく音が聞こえました。
そのときの友人の必死さに、ぼくは疲労困憊した心のままではあれど、もう少し生きようかと思い始めていました。
生きてくれと言われたら死ねない
ぼくにはもう生きる理由がありませんでした。人生でやるべきことはやり切ったと思っていました。
しかし、友人に死ぬなと言われるとぼくの中に葛藤が生まれました。
「心残りはすでにないけれど、ここで友人を裏切るのは果たして許されるのか?」
この疑問は結構おおきな問題としてぼくの中にとどまり続けました。
自殺をしたら周りの人に迷惑をかけるというのはよく言われることです。しかし、そもそもそ”周り”というものがぼくに対して本当の意味で優しかったことはそんなになかったと感じていました。とくに両親です。
なのに周りに迷惑をかけるから死ぬなという言葉はぼくにはピンときませんでした。
むしろ、「あなたたちがさんざんぼくに迷惑をかけたから死ぬんだよ?」と言い返してやりたいくらいでした。ぼくが自殺した後に被る手続き的な煩わしさなど、ぼくを殺した責任として負ってくれという気持ちでした。
だから、ぼくの中で自殺は完全に人道的に正当化されていたのです。
しかし、友人の「死ぬな」の一言で、その正当化は打ち砕かれました。
なぜなら、両親にはぼくを自殺に追い込んだ責任があっても、その友人には全くなんの責任もないからです。
ここでぼくが自殺してその友人に心の傷を負わせることはぼくにとって完全なる「悪」でした。
なんてことをしてくれたんだと思いました。
せっかく自殺を決意して気楽に人生最後の時間を過ごそうと思っていたのに、死ねなくなってしまった。自殺という行動への大義名分を奪われてしまったのです。
「生きてくれ」という言葉だけで響いた
ぼくが言いたいことは、
自分にとって大切な人に言われる「生きてくれ」という言葉ほど、自殺を踏みとどまらせる言葉はない
ということです。
自殺を決意した人間も、周りに迷惑をかけることは知っています。それでも、その迷惑を上回る迷惑を周りからかけられてきたから差し引きしてもおつりがくると思っているだけです。
しかし、ひたすら自分を思ってくれる人間を裏切ることは、自殺を決意してもなお難しかったんです。
あのときのぼくにとっては確実に死ぬことより生きることの方が難しかった。でも、友人が生きてくれと言うから、難しい方を選ぶしかなくなった。
そうやって今日も生きてます。
おかげで今はとても幸せに生きてます。
うつ病で高校を留年した現在25歳くらいの男.うつになっても立派に生きていけるし, 幸せにもなれるということを発信していきたい.様々な赤裸々話を抉り出していきたいので顔は隠しています.うつ病になってはじめて気づいた,人々を苦しめる仕組みや社会のおかしな部分を少しでも良くするために「こんなことって実は問題なんじゃないか?」ということを書いていきます.
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